10月2日、春日井製菓さん主催の「顧客体験Meetup vol.1」がひらかれました。
住宅、航空、システム、お菓子メーカー、そして問屋。
業種も立場もばらばらな十数名が、“お客様との接点を、もっとよくしたい”という想いで集まる会です。
堀商店からは、店頭販売事業部の大野さん、Web事業部の髙木さんと稲益さんの3人が参加しました。
他業種のみなさんの話から、3人はそれぞれ何を持ち帰ってきたのか。
当日の様子とあわせてお届けします。
「お客様相談室」から「顧客体験」へ
この会のはじまりは、お菓子メーカーの「お客様相談室」の担当者どうしが集まる勉強会でした。
春日井製菓の高木さんが、名古屋市西区のお菓子の会社に声をかけてはじめたもので、これまでに3回ひらかれています。
次の会をどうするか考えるにあたって、高木さんは堀商店にも話を聞きに来てくださいました。
堀商店に、お客様相談室はありません。
ただ、受注の電話で欠品をお伝えするとき、お客様の話を聴いて「こちらはいかがですか」と別の商品をご提案できると、とてもうれしい。
そんな話をしたところから、部署で分けるのではなく、“お客様との接点”という共通点で人を混ぜてみよう、という方向にひろがっていったそうです。
こうして生まれたのが、今回の「顧客体験Meetup」。
うれしいことに、私たちのなにげない話も、そのきっかけのひとつになりました。
参加した3人の顔ぶれも、少しご紹介します。
髙木さんは、堀商店に勤めて13年目。
そのうち10年ほどは店舗でお客様と向き合い、ここ2年ほどはWeb事業部で、全国のお客様からのお問い合わせに対応しています。
稲益さんも、Web事業部でお問い合わせを受けるひとり。
前職ではアパレル販売を17年ほど経験してきた、対面接客の大先輩です。
髙木さんと稲益さんは、前身の勉強会にも参加したことがあります。
そして大野さんは、お店に立って2年目。
「いろいろな職種の方の話を聴いて、自分の接客に生かしたい」と、自己紹介で話していました。
話し上手より、聴き上手
基調講演は、旭化成ホームズで20年あまり住宅の営業を続けている森さん。
一生に一度の大きな買い物だからこそ、お客様の不安も大きい。
その不安をやわらげる“安心感”をどうつくるかを、3つの心がけとして話してくださいました。
- 話し上手ではなく、聴き上手に
- 小さな約束、細かい気遣いを当たり前に
- 不安を、先に言葉にする
なかでも大野さんの心に残ったのは、聴き方の話でした。
お客様の話を、否定しない。
押し付けない。
私は商品を買ってもらいたい!という気持ちが先行してしまっていたと気づき、これからは焦らずお客様のご要望や悩みを伺い、1人1人に合った寄り添い方を心がけようと思いました。(大野さん)
もうひとつは、「多分」という言葉を使わない、という話です。
分からないことは分からないと伝え、いつまでに調べて答えるかを約束する。
良いことばかりではなく、デメリットも先にお伝えする。
「多分」とあやふやにせず正直に話すことで、「この人は自分のことを考えてくれている」という実感を抱いてもらえるというお話は、今後の接客に活かしていきたいと思いました。(大野さん)
毎日売り場に立ち、お客様と直接言葉を交わしている大野さん。
だからこそ、まっすぐ響くものがあったようです。
「心が通う」という言葉
講演のあとは、4人の方によるライトニングトーク。
お菓子メーカーのお客様相談室、電話営業、航空会社、システム会社と、話し手の立場はさまざまです。
けれど、どの話も行き着くところはひとつでした。
お客様との信頼関係は、どうやって生まれるのか。
髙木さんがこの日いちばん大事だと感じたのは、「心が通う」という言葉です。
例えばメールでもその人としか共有していない話を入れる、紹介してくれた人にも共有するなど、そういったことが信頼や安心感につながるという話を聴いて、改めて、日々の対応でも、機械的にならず、各お客様の背景や想いを想像して接することを心がけたいと思いました。(髙木さん)
Web事業部には、毎日たくさんのお問い合わせが届きます。
顔の見えないやりとりだからこそ、一通のメール、一本の電話の向こう側を想像できるかどうか。
髙木さんは、会の終わりにこんな話もしていました。
自社にも営業の電話やメールがたくさん来ますが、最近はAIを使ったようなものも多く、そういうものはすぐ切ってしまいます。その人の本音がどこにあるかを考えて寄り添うことがとても大事で、機械的にではなく、その人その人のことを考えて対応するのが大事だと感じました。(髙木さん)
受けとる側に立ってみると、“定型文”はすぐに分かってしまう。
その実感があるからこその言葉なのだと思います。
「分かりました」の奥にある本音
後半は、コラボスタイルの小棚木さんの進行によるグループワーク。
テーマは「サブテキスト」です。
お芝居の用語で、口に出した言葉の裏にある、本当の気持ちのこと。
泣きながら「大嫌い」という人は、きっと本当は好き、というように。
ワークでは、3つある架空のお客様の言葉をひとつ選び、次の順にひとりずつ考えて、チームで話し合いました。
- その言葉から分かる事実
- 事実の奥に隠れていそうな思い
- その想いを汲みとる行動や言葉
- この顧客体験が向上させる仕組み
用意された“お客様”のひとりは、在庫切れを伝えられて「そうなんですね。分かりました。ありがとうございました。」とだけこたえるタカヤナギ様。
これは、春日井製菓の高木さんが堀商店で聞いた話をもとにした例だそうです。
4チームあるなかで、2チームがヤマダ様の言葉を選びました。
イベントの主催者から来年のイベント参加を誘われて、「確かにやれるといいですね。ただ、うちは今手一杯で。新しいことを始めると現場も大変ですしね。」とこたえた方。
同じヤマダ様でも、チームによって見えたものは違いました。
イベントに参加している以上、興味そのものはあるはずだ、と読むチーム。
そのうえで、大変だという気持ちにまず共感して寄り添うこと、不安を解消するQ&Aをつくることを発表。
別のチームは、社内で出られるかもまだ分からないし、本当は断りたいのかもしれない、と読みました。
だからこそ、今の仕事の状況を聴いてみる、会社や上司の方にも確認してもらえるよう声をかける、と発表しました。
同じひと言を、どう受けとるか。
人によって、こんなにも違う。
それが目に見えたことも、この日の大きな収穫でした。
大野さんにとっては、こうした場で他社の方と話すこと自体が、はじめての経験です。
同じテーブルには、コラボスタイルでデザインやマーケティングを担当されている方も。
直接お客様と話す機会は少なくても、相手の要望を予想してイメージを形にする仕事には、信頼関係が欠かせない。
その話も、大野さんには新鮮に響いたようです。
他社さんとお話をする機会はあまりなかったので新鮮で楽しかったし、経験の浅い私の意見も真剣に聴いてくださったことが嬉しかったです。定型文のような接客をするのではなく、人対人として真摯に向き合うことが大切だと実感しました。(大野さん)
チームで、目線をそろえる
ワークの最後に、小棚木さんがこんな話をされていました。
同じ言葉でも、受けとり方はチームの中でさえばらばら。
だからこそ、チームで同じ体験を共有して、目線をそろえることが大事なのだ、と。
この言葉にいちばん反応したのが、稲益さんです。
まずは、他業種の方々の話を聴いて感じたことから。
皆様、お客様が心を開きやすいように、お客様をよく観察し、話しやすい環境を作り、誠実に傾聴し、真摯に向き合うということを愚直に実践されていて、それこそが最も大切で、かつ難しいことなのだと改めて強く思いました。(稲益さん)
アパレルの店頭で17年、そして今はWebで、お客様と向き合ってきた稲益さん。
会の終わりには「今心がけていることは間違っていなかったと思えたので、続けたい」と話す一方で、「同じ目線をもってチームで考えることが、できているようでできていなかった」とも振り返っていました。
堀商店でも、日頃から経験値のある先輩方のお話やお客様に対する考えを聴いてハッとさせられることがあるので、ぜひ社内でもこのようなワークショップを企画し、先輩方の発想や考え方を聴く機会を作りたいと思いました。(稲益さん)
その場でさっそく、髙木さんに「社内で実施できるように、ぜひ助けてほしい!」と声をかけていた稲益さん。
堀商店版のワークショップがひらかれる日も、そう遠くないのかもしれません。
会のあとの懇親会にも10名ほどが参加し、仕事の話に限らず、趣味や地元の話でも盛り上がったそうです。
会を終えて
話し上手より、聴き上手。
3人の感想を読み返すと、言葉はちがっても、行き着いているところはよく似ていました。
売りたい気持ちより先に、聴くこと。
定型文ではなく、その人のことを想像すること。
そして、ひとりで抱えずに、チームで目線をそろえること。
どれも特別な技ではなく、毎日の売り場や電話、メールのなかで、地道に続けていくことばかりです。
扱うものも、値段も、まるでちがう。
それでも、お客様の前に立ったときに大事にしていることは、こんなにも重なる。
業種を混ぜたこの会だからこそ、見えたことだと思います。
声をかけてくださった春日井製菓の高木さん、運営のみなさん、ありがとうございました。
当日、感想の順番が回ってきたとき、つい「ラポールの先には、“アモーレ”がある」なんて口走ってしまいました。
信頼の次は、愛。
……と、気づけばひとりで“話し上手”を気取っていました。
聴き上手への道は、私がいちばん遠いのかもしれません。
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